「終活」という言葉が使われるようになったのは、2009年のことだと言われています。
2019年のアンケートでは、「終活という言葉を知っている人の割合」は80パーセント近くにも上り、また終活をしたいと考えている人の割合も40パーセントを超えていました。
45パーセントは「わからない」としているので、する意向がない人の割合は15パーセントに満たない程度しかいません。
今や終活は多くの人にとって身近なものになりつつあります。
終活でやるべきことはたくさんありますが、ここでは主に「遺影」について取り上げます。
出典:楽天インサイト株式会社「終活に関する調査」
https://insight.rakuten.co.jp/report/20190527/
<終活とは最後の身支度のこと>
終活とは、「最期のときを迎えたときのための準備をすること」をいいます。
たとえば、「終末医療についての考え方」自分の葬儀はこのように行って欲しい」「権利証などの保管場所はここ」「財産はこのように分けて欲しい」「みんなへの感謝の言葉」などを記します。
これは法的拘束力は持ちませんが、亡くなる前の時間を自分らしく過ごし、亡くなったときの見送り方の希望を出し、残されていくご家族の負担を軽くすることができます。
そしてその終活の工程のなかに、「遺影の候補となる写真を作る」があります。
<遺影と葬儀~葬儀のときに遺影はどのように扱われるのか>
遺影は、多くの場合通夜に先立って作られます。その遺影は告別式の時にも使われ、葬儀が終わった後は家に引き取られます。
家に引き取られた後は仏壇などに飾られるのが一般的です。
あなたが亡くなったあと、あなたのお顔を見る際に、もっともよく使われるのがこの「遺影」なのです。
そのため遺影は、美しく、またその人らしさが感じられるものであることが求められます。
<遺影作りはだれに頼む?それぞれのメリットとデメリット>
終活の遺影作りをだれに頼むか? にはいくつかの選択肢があります。
1.自分たちで作る
2.葬儀会社にお任せする
3.カメラマンに撮影からしてもらう
4、写真加工業者に頼む
ひとつずつ、その特徴とメリット・デメリットを紹介していきます。
1.自分たちで作る
自分たちで作る場合、費用がかかりません。また、「遺影を自分たちで作ることそのもの」が、故人との思い出を偲び、亡くなったことを受け入れていく過程となることもあります。
ただ、当然のことですが、プロに頼む場合と比べて品質面ではどうしても分が悪いといえます。
2.葬儀会社にお任せする
現在の葬儀は、葬儀会社に頼むのが一般的です。
この場合、遺影作りもまた葬儀料金に含まれるため、追加の出費はありません。また、ある程度の色味の調整などもしてもらえます。
この方法も決して悪くはないのですが、やはり「写真の専門家」に依頼するよりも品質面では多少落ちます。また、衣服の加工などに関しては、「どこまでできるか」は葬儀会社ごとで異なります。
3.カメラマンに撮影からしてもらう
事前に遺影となる写真を前撮りしてもらうこともできます。
この場合、本人の意思を最大限尊重することができますし、プロカメラマンによる撮影ということで品質面では文句のつけようのない出来になるでしょう。希望に応じて修正も行えますし、出来上がりを本人の目で確かめられるため、とても満足感の高い遺影となります。
ただ、費用はかかります。最低でも2万円ほどはかかりますし、場合によっては15万円以上になることもあります。
また、遺影自体は「いつ撮った写真であっても構わない、その人らしさが重要」とされていますが、「直前に撮った写真にして欲しい」などの希望がある場合は撮り直しを検討する必要も出てきます。
4.写真加工業者に頼む
写真加工業者に、写真の加工を頼む方法もあります。なお、フレームの用意を依頼することもできます。
写真加工業者の場合は、新しく写真を撮るわけではありません。そのため事前に「どの写真を遺影にするか」を選ばなければなりませんし、自分たちで別途依頼する必要もあります
ただ、写真加工業者に依頼した場合、さまざまな加工が可能となります。
もっとも印象が大きく変わるのは、「着せ替え」でしょう。現在は一般的な洋服や故人らしい服装をした写真を選ぶことが多いのですが、「やはり着物にしてほしい」などの希望を持つご家族もいらっしゃいます。この場合、写真加工業者ならば、洋服→着物に着せ替えができます。また、色味なども調整することができるので、より自然な写真となります。
それ以外にも、「表情も良いし服装も良いが、鞄などの余計なものが入っている……」「ほかの人が映りこんでいる」という悩みにも対応することができます。鞄を消したり、お一人で映っているように加工したりすることもできるのです。
大正~昭和~平成~令和と、4つの時代を生き抜いてきた故人の場合、写真があまり残っていなかったり、「この写真を遺影にしたい」と考えている写真が傷んだりしていることもあります。また、白黒フィルムで撮影されたものなどもあるでしょう。写真加工業者に依頼すれば、カラー加工やキズの修正も違和感なく行うことができます。もちろん、カラー写真を白黒に加工することも可能です。
遺影作りの依頼先は数多くあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。このため、どれが良い、どれが悪いとはいえません。
ただ、「気に入っている写真が手元にある。これをより美しく、より遺影にふさわしく、より故人らしい姿にしたい。ただ、費用面も考慮したい」と考えるご家庭にとっては、写真加工業者は強い味方となるでしょう。
参考
https://ansinsougi.jp/p-207